第28話

story *涼介side*
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2018/01/04 10:11
山田涼介
お疲れ様でしたー!!
今日のドラマ撮影が終わり、 
ドラマ監督や出演者の人達に深々と頭を下げ
自分の楽屋へと戻った。
今日はもうこの後何もないし、暇だなー。
何すっかなー。と考えているとふと、
ある人物の声が頭によぎった。

"山田くん"

か細く可愛らしい…李奈の声だ。

最近の俺は本当におかしい。
メンバーにも「怪しい」と言われちゃったし。
元々何かあるとすぐに表に出ちゃうタイプだから
気づかれやすいんだよなー。
いや、別に何もないし、ただ高校生と食事して、
看病してもらっただけ。
ただそれだけなはずなのに。
言えないのはどうしてだろう?
そんなことを考えながら車に乗り、
自分の家に向かう…はずだったけど、
俺は自分の家とは逆方向に向かっていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
派手なエンジン音を響かせながら、
車を道路脇に停めた。
数メートル先に見えるのは、真っ白な校舎。

じっと門の向こうを凝視していた俺の目に、
ひときわ小さい人影が映った。
見慣れた黒いボブヘアーに、制服姿。
それが李奈だとわかった瞬間…。
俺の目に飛び込んできたのは、
その隣に肩を並べる大きな人影だった。
誰だ?…
そいつを見上げながら笑う李奈を見て、
何か心臓が痛くなった。

何、他の男にニコニコしてんだよ。
あの隣にいる男は誰?
まさか…彼氏!?
もし、彼氏だとしたら……



プルルルルルルルル…


いつの間にか携帯を握りしめ、
通話ボタンを押していた。

自然と握りしめた手のひらが汗ばんでいく。
数秒後、プルルルルという機械音が消え、
通話状態になった。
山田涼介
…もしもし
広瀬 李奈
……
返事はない。
聞こえてない?
山田涼介
聞こえてる?
広瀬 李奈
山田くん!?
なぜだか急に焦ったような声を上げる李奈に思わず笑みが溢れる。
山田涼介
うん(笑)
山田涼介
あのさ…今さ…
ー…なんでこんな緊張してんの俺。
広瀬 李奈
風邪、まだ治らないんですか?
声が…
山田涼介
いや、風邪はもう治った
山田涼介
てかさ…
いつもと違う声色だから風邪だと思ったのか
李奈は心配そうに"大丈夫ですか?"と言う。
違うよ…そんなんじゃない。
なんで
山田涼介
今どこにいるの?
広瀬 李奈
へっ?今は学校の近くですけど…
本当にすぐ近くにいる俺には気づいていない様子の李奈を凝視する。
山田涼介
へぇ…誰と?
広瀬 李奈
えっ、…
山田涼介
……
…何で答えない?
俺に言えないような関係?
山田涼介
…やっぱいいや。ごめん、
変なこと聞いて。じゃあね
そう言い、電話を切った。

電話を切った後も、
李奈は何事もなかったかのように隣の男と仲良さそうに話している。

こうして実際に李奈の通う学校に来てみると、
李奈はまだ"女子高生"なんだと改めて実感させられる。なんだかつい最近まで自分がいた場所なのに
今はまるで別世界だ。
山田涼介
変なの…
ハンドルを指で叩きながら、そう呟く。

自分のこの行動が不思議で仕方ない。
なんでこんな子を追ってきてるの?
なんでこんなにこの子の行動が気になるんだろう。
こんな所でじーっと停まっていたらまるで不審者だ。
横を通っていく制服姿の女の子達に
ジロジロと不思議そうに見られてるし。
でも、このまま黙って見過ごすわけにもいかないこの状況。
待ち伏せとか、こんな風に陰からこっそり見るなんてガラじゃない。
でも、カッコつけてなんていられない。

目の前で笑顔をふりまく李奈を見ていたら、
気づけば車から降りて、
二人の前に立ちはだかっていた。
広瀬 李奈
や、…山田さん!?
急に現れた俺を目にして、驚きの声を上げる李奈。
そんな李奈には目もくれず、俺は隣に佇む男をサングラス越しに睨み付けた。
背丈は俺よりうんっと高いから、
何だか負けた気分。
スポーツでもやっているのか、逞しい体つきで着こなすブレザー姿も子供にしてはなかなか大人びたもんだと思うくらい、大人びた背格好。
優しげで、爽やかな優等生…って感じかな。
李奈ってこういう男が好きなの…?

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