第34話

story *涼介side*
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2018/01/08 04:36
広瀬 李奈
何でそんな怒ってるんですか…?
なぜかビクビクしながら、李奈は俺を見上げた。
山田涼介
別に…怒ってないけどさ 
広瀬 李奈
怒ってるじゃないですか!
山田涼介
…李奈が知らない奴に付いてくから
広瀬 李奈
知らない人なんかじゃないですよ?
知念くんだし
山田涼介
だからー。
知念のことそんなまだ知らないだろ?
広瀬 李奈
だったら、山田くんのことも私、
全然知りません
山田涼介
李奈はなぜか目に涙を浮かべ、
今にも泣きそうな顔をしている。
なんでそんな泣きそうになってるのか
俺には理解できなかった。
広瀬 李奈
私…最初は山田くんのこと、
最低な人だと思ってました。
好きでもない女の人と何か色んな関係もったり…
そういうの、どうかと思ってました。
でも…本当は、本当はいい人なんだって分かりました。
だって、こんな私に美味しいご飯食べさせてくれて、
ただのファンの私に、こんな優しくしてくれて…
そう言って、曇りひとつない純真な瞳で俺を見る。
その疑うことを知らない純粋な心に、
思わず感心してしまう。
そんないい人じゃないのに。
そんな簡単に信用しちゃダメなのに。
こんな俺を信じようとしてくれてる。
…なぜか守ってあげたいと思えた。
変な奴に引っ掛からないように守ってあげなきゃ…って。
自分でもよくわからないけど。
李奈から目が離せない。放っとけないんだよなぁ。
広瀬 李奈
…めんなさ、い
山田涼介
へ…?
今、何か言った…?
ボソボソっとしか聞こえなかった。
でも、…その声は震えていた。
俯いてるため、李奈の顔がしっかりと見えない。
広瀬 李奈
ごめんなさい、…私…
そう言って李奈は泣き出した。
え!?なんで!?
俺、何か言った!?

急に泣き出した李奈に俺はパニック状態。
こんな目の前で女に泣かれたことなんてないから、
どうしたらいいかわからない。
広瀬 李奈
す、、き、なんです…
そう言ってポロポロと涙を流す
李奈の顔をゆっくりと覗き込んだ。
涙でぐちゃぐちゃな顔…。
こんなボロ泣きしてる女、初めて見た(笑)
でも、なんだろ。
李奈の流す涙は…キレイだって感じる。
自分をよく見せようとか、
好かれようとか、そういうのが一切感じられない。
本当に、変わった奴だ。
けど…
山田涼介
…ったく。色気のない奴~
泣くならもっと綺麗に泣けよな(笑)
李奈の涙を手で拭いながら笑ってやる。
広瀬 李奈
ひ、…酷いです…
山田涼介
好きって友達として?
そう問うと、
李奈は俺の目を真っ直ぐ見て、首を横にふった。
広瀬 李奈
違う…。
本当に、好きなんです。
今朝、翼ちゃんと仲良く二人で歩いてる所見てたら…私、ギュッて胸が苦しくなって…
山田涼介
広瀬 李奈
私…好きです。
Hey!Say!JUMPの山田くんも、
目の前にいる山田くんも。
そう笑顔を向けられたその時…。
広瀬 李奈
…えっ…?
気がつけば、俺は李奈の体を抱き締めていた。

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