涼くんと付き合って、もう1年。
1年経った今でも、
涼くんが隣にいるだけで
ドキドキするのは変わらない。
変わったことといえば…
"付き合ってるのに名字呼びって何か嫌だ"
と、山田くんに言われて、
山田くんのことは"涼くん"と呼ぶことにした事と、
ため口で話せるようになった事…くらいかな。
それより!!
今私は涼くんの部屋の中で1人、
あるTVに夢中になっています!
…それは、紅白歌合戦!!!
なんと、今年はHey!Say!JUMPが初出場なんだ♪♪
いつも隣にいる人がTVに映るってなんだか変な感じだけど、TVに映る涼くんは凄く輝いて見える…。
そう司会者が言うと、
Hey!Say!JUMPが登場した。
メンバー全員の顔がドアップで映っていく。
…涼くんは…
お客さんに向かってウインクした!
すると、
《「きゃー!!」》
という歓声が上がる。
司会者の合図に合わせ、曲が流れ出した。
そしてその曲に合わせて踊りながら歌う涼くんに思わず見惚れてしまう。
彼の歌声が全てをのみこんでいく…。
なんだかいつもの涼くんじゃないみたい…。
涼くんと付き合ってからこうして1人、
TVに映る涼くんを見るのは初めてだ…。
ねぇ、涼くん。
光り輝くステージに立つあなたは、ただ眩しくて。
離れた所にいる私には、ただ眩し過ぎて。
手を伸ばしても届かないほど、
遠い存在のように思えちゃうの…。
何でだろうね、
いつも隣にいてくれている人なのに。
まるで別人のように思える。
そんなあなたの隣に相応しい人間になりたい。
今の私じゃあ、きっと涼くんが胸張って俺の彼女です!なんて、公表できない。
涼くんが、
未だに世間に公表しない理由はきっとそれ。
一般人でただのファンだった私。
特に何も取り柄のない人間なのに何で付き合えて?ってきっと、涼くんファンに言われてしまう。
苦しいほどに切なくなる胸を、
ギュッと押さえながら、
しっかりと涼くんが歌う姿を焼き付けた。
Hey!Say!JUMPの曲が終わり、
次のアーティストになった瞬間、
なんだか体中の力が抜けてしまった私は
いつの間にか眠ってしまっていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。