学生っていうのはなかなかに大変で、ネットの情報、流行りに乗らなければいけない。でも、それ以上に大変なのは人間関係だと思う。先生と生徒。先輩と後輩。友達。恋愛。
私は人間関係の悩みは少ないほうだと思う。友達もいるし、先生からそれなりの信頼もあるし、先輩後輩とも上手くいっている。そんなことを知ってか知らずか、目の前の奴はまたもやこの前と同じ話をしてきた。
「僕ー、人見知りなんですよー」
「嘘つけ」
するとまたふざけた真顔をしてきて、「ちょっと聞いてくださいよー」と言ってきた。
「だって、知ってる人とかだったらまぁ喋れるんですけど、知らない人とは喋れなくないですか?」
「だから、それが普通でしょ」
「あなたって人見知りですよね」
「は?」
「コミュ障ですよね」
「………」
事実だった。私は本当は極度の人見知りだ。自分から話しかけられない。話しかけられても、答えるだけで、そこから話を広げられない。仲良くなれば『ノリがいい』『面白い』『頼りになる』などの良いことを沢山言ってもらえる。でも、そこまでが大変。
「正直、僕に助けられてますよね」
「は?何が」
「僕が話しかけないと、喋れないじゃないですか」
「………うん」
「いや、素直ですね!」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。