とりあえず、女子に人気の可愛いものがたくさん詰まっている店に行った。私も女子だけど、こういう感じはあまり好きじゃない。だから、友達と遊ぶ時に何回か来たことがあるだけで頻繁に行くわけじゃないんだけど、私の中のふうちゃんのイメージにはここがぴったりだった。
「すごいっすねーここ」
春樹は初めて来たらしく、キョロキョロと見回していた。
「ふうちゃんに欲しいものとか聞いてないの?」
「いや、聞いたんですけどね、特にないって言うんですよ」
「そうなんだ」
「俺といるだけで幸せ的な感じすかね?」
目の前ででれでれしてくるのを無視して良い物がないかと探す。
「これは?」
私が指さしたのは赤いニット帽だった。
「おお!いいっすね!」
ニット帽を手に取って考えている。
「マフラーでもいいかなって思ったんだけど、ふうちゃんって白いマフラー持ってたよね?だから、ニット帽とかどうかなって。冬しか使えないんだけどさ」
考えている春樹にそういうと、確かに、と頷いた。
「じゃあ、これにしますね」
そう言うと、赤いニット帽を持ってレジに向かおうとしたので慌てて止めた。
「これだけ?」
「え?」
「いや、これは私が選んだやつじゃん?それじゃあ春樹からのプレゼントじゃなくて私からのプレゼントじゃん?」
私の説明に春樹は、おお!と大げさに驚いた。
「だから、春樹も自分で何か選ばなきゃ」
うーん、と困っている春樹と一緒に他のものを探した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。