結局ふうちゃんとのお揃いのキーホルダーを買っていた。お互いのイニシャルが入ったキーホルダーだった。シンプルなものだけど、春樹からプレゼントが貰えるふうちゃんが羨ましかった。
買い物が終わってから、春樹と一緒にアイスを食べた。真冬の冷たいアイスは私の体を冷たくした。
「さみー、けどうまーい!」
隣で笑いながら食べる春樹。この隣にずっと居たいと思った。ずっとこのままで居たいと思った。叶う訳がないのに。
寒い寒いと言いながらアイスを食べ終わった。
「そろそろ帰るか」
あえて私から切り出した。このままずっと一緒にいると離れられなくなる。
「そっすねー、冬は暗くなるの早いっすからねー」
春樹も頷いた。帰り道は春樹が家まで送ってくれた。
「別に良かったのに」
私は送らなくてもいいと言ったのに、春樹は「まあまあ」と言いながら家まで送ってくれた。
「じゃあね、始業式にまた」
そう言って私は家に入った。
さっきのアイスで体は冷たかった。それなのに春樹のことを考えるだけで、一気に温かくなった。
春樹のことを好きすぎる自分が嫌になった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。