冬休みに一回会ったきりで、春樹とはそれから会うことは無かった。ただ、春樹のラインの一言が『ハピバ🎂生まれてきてくれてありがとう😆』になって、ふうちゃんのLINEのホーム画に、例のキーホルダーが載っていて、大体のことは察した。
「おはー!!」
短かった冬休みも明けて、また学校が始まった。この時期になると、人によっては受験がある。私のクラスにも一月が受験日の人がいて、皆そわそわしていた。
この辺の県立高校の受験日は三月四日。ほとんどの人がこの日に受験することになる。この日に向けてみんな必死になっている。
「あなたー」
始業式が終わって教室に帰ったところで廊下から呼ばれた。
「ユリ、どした?」
私とは違ってパリピ系のグループにいるユリはいい意味でも悪い意味でも目立つ。
「今日一緒帰れる?」
水泳部に入っていて、色がぬけて茶色になっている髪。校則違反の色つきリップ。手の加えられている眉。ふうちゃんとはまた違うタイプの可愛さ。
「おーい?聞いてるー?」
「うん、帰れるよ」
「じゃ、校門で待ってて!」
耳よりも高く結んだ髪の毛を揺らしながら自分の教室に帰っていく。その後ろ姿だけで可愛いのが伝わってくる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。