卒業式のあと。家に帰って気づいた。ポケットの中にボタンが入っていた。返すのを忘れていた。どうするべきか、悩みに悩んだ結果、黙っておくことにした。別に第三ボタンだから、返す必要は無いかなって思った。
スマホには、ユリから写真が送られてきていた。左から、シュン、ユリ、私、春樹の順で並んで撮ったのだけど、春樹の隣にいる私は、思った以上に顔が赤くなっていた。それを見て、自分で恥ずかしくなった。
ちなみに、中庭の4人は、全員無事に西高に合格した。
北高を受験したふうちゃんともりもり君も無事に合格した。
P.S.
それからさらに月日は流れ、ユリとシュンは23でおめでた婚を果たした。春樹とふうちゃんは25で結婚して、27で可愛い女の子を出産した。
私はどうなったかって?私ももちろん、二人の可愛い子供と見た目そこそこな中身イケメンの旦那さんと一緒に楽しく暮らしてる。もちろん今でも、中庭の4人とは仲良くしている。
でも、私が春樹を好きだったことは誰にも言っていない。私がまだまだ幼かった頃の青春のひとつとして、第三ボタンと記憶の中だけに残しておくつもりだ。
~END~
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!