ある寒い冬の日の放課後、誰もいない体育館裏で私は
友達の佐伯奈々と山田絵里と一緒に
同じクラスの山下優奈に水をかけていじめていた。
優奈は寒さからか震えながら鋭い目つきで私を睨んで
「やめて!何でこんなことするの?」と聞くが、私は
「は?だって楽しいから!」
と笑いながらもう一度水をかけた。
私の左どなりにいる奈々は
「やめなよあなた、優奈が可哀想だよ」
とクスクスと話した。
私はだんだん飽きてきて
「もう飽きた、帰る」
歩き出すと後ろにいた奈々と絵里が
「「え?」」
と、ふたりは固まってこっちを見ていたが
私は気にせず鞄を手に取って歩きだした。
「「あなた待ってよ」」
と言われた私は、後ろは振り向かずに
「速くしなよ」
そう言うと2人はごめんと言いながら
私についてきた。
その後ろで手の中にある何かを見ながら
ニヤリと笑っていた優奈には気づかずに、
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。