第9話

違和感
202
2017/11/26 14:58
「運んでくれてありがとう。
先生いないみたいだけど、ベッドで休んでるから大丈夫。
…早く授業に戻って?」


一瞬、彼女の瞳が哀しそうに揺れたような気がした。


「分かった、しっかり休んでろよ?」

「うん。」


やっぱり、何か気になる。

だが、俺も授業に戻らなくてはならない。


「じゃあな。」
「ありがとうございました。」


そう言って俺に手を振る彼女。
おかしい所なんて、何一つ無い。

保健室に連れてきてもらったお礼を、俺が教室に戻る前に言っただけだ。



…それだけなのに

どうしても、何かあるような気がして止まない。








────この時、違和感を感じながら、
彼女の側から 離れてしまったこと を
今になって、深く後悔している。

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