それからというもの、オリエンテーションのグループで集まることが多くなった。
私、梨花、朝日くんと、その親友の木津八雲(きづやくも)くん。
これは梨花が言ってた秘密なんだけど...
梨花は木津くんのことが好きらしい。
……人を好きになれるのって、すごいことだと思う。
そんな梨花が、羨ましくもあり、不思議でもある。
恋とは無縁な人生を過ごしてきた私。
...いつか、してみたいな...
なんて、大それた欲がある。
木津くんは、朝日くんと違って、チャラいというかノリが軽い感じがする。
...どっちも顔が整っていることは変わらない。
...買い出しでも、友達と遊びに行くなんて、小学校以来かもしれない。
タイムリープのことがあってから、友達を作ろうとしなかったからね。
...私が、今を楽しんでいいのだろうか。
時々、こんな不安に駆られる。
...神様、今だけは、楽しんでもいいですか?
...生きてる心地がする。
可愛い友達がいて、更には男子までもが一緒になって、4人で固まってる。
...これが崩れてしまったら、本当に私は終わってしまうかもしれない。
そんな恐怖心に怯えつつ、出かけれる喜びで胸を弾ませていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。