先輩との出会いは、今から３年前の中学１年生の冬。

合同練習という名目で、先輩のいた中学校で一緒に練習することになったときのこと。

私は、トロンボーンを片手に緊張していた。
なんせ、この中学は毎年支部大会に出る県内でも有数な強豪校。正直、楽器を吹くまでの筋トレで私は身体も心もへばりきっていた。

「じゃあこの練習を中腰でやってみよう。」

そう顧問の先生が言った。
え、嘘。
率直に私はそう思った。
中腰でやる練習は、普段でもたまに私の顧問が取り入れていて、慣れていないものではなかった。
でも、今、こんなへばった状況でできるか、そう聞かれたら私は即答で無理だと答えられる。
無理無理、こんな疲れてるのに…
そう思った矢先の出来事だった。
吹奏楽の中で一番重い管楽器、チューバを手にした一人の男の人が私の視界の左端で中腰をする姿が写った。
そう、その男の人こそ。
私が後に恋をすることになる先輩だったのでした__。