第5話

コンクールで
47
2017/11/26 16:07
ドン

肩と肩が、軽くぶつかる。
私はとっさに「すいません!!」と謝った。
そしたら、なんと相手は先輩だったのだった。

「あ、いや、こちらこそすいません。」

先輩はそう言って、私の通路を空けてくださった。

私は、早く集合場所に行かなきゃならないことと、ぶつかってしまったという事実で頭がいっぱいで、その時はまた話せた喜びを感じる余裕もなかった。

「すいません、ありがとうございます!」

私はそう言って、足早にその場を抜けた。


___


そして、私達の演奏も無事終わり、いよいよ結果発表。
私たちの学校は、金賞を受賞することができた。しかし、念願だった支部大会に進むことは出来なかった。

悔しさでいっぱいだったが、表彰の1番最後の出来事だった。

最後は最優秀団体の発表なのだが、例年だと、毎年全国に出ている常連校が持っていくそれは、今年もきっとそうだろうと誰もが思ってた。
しかし、結果は違った。今年の最優秀団体は、なんと先輩の学校だったのだ。後で聞いた話では、満点のオールAだったらしい。文句なしの1位。私は、なぜか自分のことのように嬉しかった。

そして、この日を境に、先輩と会うことは1年以上なかった。しかし、私はいつも頭のどこかで先輩のことを考えていた。当時は、憧れの人として …

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