もうすぐ年がくれる中3の12月。
私は吹奏楽部を卒部し、あと少しでやってくる高校受験の勉強をしていた。
でも、今日は違う。
今日は、私の志望する高校の吹奏楽部の定期演奏会の日で、私はそれを聞きに来ていた。
この学校には、私が中1のときにお世話になったパートの先輩がいて、今日はその先輩の代が最後の演奏会になるのだ。
開演前から行列で、有料にも関わらず多くの人でいっぱいだった。
私は友達と立見席で観覧することにした。
開演までの間、私はフロントでもらったプログラムに目を通していた。
「へぇ〜!ねえ見て見て!この曲やるんだって!!」
「これ有名だよね!さすがだなぁ。
私たちはそんなありきたりな会話をしていた。
そして、プログラムには、各パートの紹介があって、私たちはそれに目を通していた。
その時だった。
チューバセクション、そのページに、見覚えのある人が写っていた。
そう、あの時のあの先輩が ___。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!