プログラムごしにみた先輩の顔。
ふっと、あの合同練習が脳裏に思い出された。
「??どうした?」
友達が心配そうに私の顔を覗き込んできた。
「いや、なんでもない!相変わらず先輩素敵だなぁって思っただけ!」
「(笑)相変わらずだね〜」
誤魔化したけど、驚きは隠しきれなかった。
そして、定期演奏会が始まった。
やっぱりすごい。この高校は毎年支部大会に進んでいる。何年か前には全国にも出た実力校。それでもって進学校。練習時間は圧倒的に少ないはずなのに、サウンドに圧倒される。これが、この学校の音。私が憧れる、吹奏楽部の音。
そして、私は憧れの同じ中学校の先輩に釘付けで、チューバのあの先輩のことは少しのあいだ頭から抜けていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!