第7話

第六話 目指すのは。
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2017/12/02 01:28
季節は秋。あと1カ月ほどで体育祭が始まろうとしていた。

菱川先生「全員知っていると思うが、もうすぐ体育祭の時期だ。今日はその体育祭についての説明
をする。学級委員。」

美都「はい。」
景「はい。」
2年C組の学級委員、河合 美都(かわい みと)と堀北 景(ほりきた けい)が前に出た。

美都「体育祭は去年と同じルールで、第二校舎の生徒は目立った行動をしないということ
だそうです。」
景「去年と違うところは…、生徒会種目があるところです。」

霧絵「生徒会種目!?」

笑心「なにそれ?」

樹「どーせ、俺らが不利な種目だろ。」

美都「生徒会種目は、クラス対抗リレーです。」

樹「まじかよ!」

笑心「リレーなら楽しそう!」

真昼「でも圧倒的にA 組が有利だね。」

小夜「で、でも、私、運動はあんまり…。」

クラスの中で運動が得意な者、不得意な者で意見が分かれている。

まなか「一位取りたいよね!」
笑心「当然よ!」
樹「だな!でも、運動だったら、やっぱり真魚だろ!」

真魚「ん?」
突然名前を呼ばれた、佐倉 真魚(さくら まお)は樹の方を向いた。
樹「お前、運動得意だろ!体育祭!」
真魚「うん!!真魚、リレーはやくやりたいっ!」
まなか「私も私も!」

美都「ちょ、み、みんな!」

菱川先生「本当に愚かなクラスだな、ここは。」

菱川先生の言葉で全員が口を閉じた。

菱川先生「なにが一位、だ。お前たちは第二校舎。もっと他にやるべきことがあるんじゃないか。」

盛り上がっていたC組が一気に冷めた瞬間だった。


まなか「でも、一位取りたいですっ!」


まなかの言った一言。菱川先生は少し驚いて言った。

菱川先生「冴草。お前は知らないかもしれないが、ここは落ちこぼれのクラスだ。
学力、身体能力が低い、落ちこぼれのクラスだ。一位なんて目指すだけ無意味だろう。」

まなか「でも、落ちこぼれでも、私、一位取りたいです!無意味なんかじゃないっ、私はっ、」

真魚「真魚も取りたいっ!」

霧絵「一位取ったら、第一校舎の生徒は?面白そうじゃん!」

樹「俺も見てーな、第一校舎の顔!」

真昼「いいんじゃない?ね、笑心。」

笑心「え!?あ、あ、うん、そうね。」


菱川先生「ふふふ、ははは!」

菱川先生が急に笑いだしたので生徒はみんな驚いた。

菱川先生「今年の2年生は変わっているな。まぁいい、目指すも目指さないも好きにしてくれて構わない。
私は担任としてサポートさせてもらう。」

景「な、ならい、いいんですか?」

菱川先生「何がだ?」

美都「C組が一位を目指すことです!」

菱川先生「あぁ、構わない。」

小夜「で、でもさっきまで…。」

菱川先生「C組が一位を目指す、それがだめだという校則はない。私は昔からC組の担任をしてきた。
誰も一位取りたい、なんて言わなかった。」

菱川先生「だが、だからって、気を緩めてはいけない。A組だけじゃない。B組を忘れるな。
AよりBの方がCを落とそうとしているということを。」

全員「はいっ!!」

C組に新しく風が吹いた瞬間だった。


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