龍二「真壁、もうそろそろか?」
直人「そうですね、いい頃合いだと思います、龍二さん。」
B組。
教卓に座る、神崎 龍二(かんざき りゅうじ)。
その横で龍二と話す真壁 直人(まかべ なおと)。
七海「龍二、あんた何するわけ?」
不安そうに御園 七海(みその ななみ)が言う。
龍二「お遊びだよ、お遊び。お前が心配するようなことじゃねーよ。」
七海「お遊び?」
龍二「あぁ、お遊びだ。お前も来るか?」
七海「まぁ、いいけど。」
龍二「おい、志乃。お前も来い。」
志乃「私も行くんですか?龍二くん。」
同じクラスメートの結城 志乃(ゆうき しの)が言う。
龍二「あぁ。お前の観察力が必要だ。七海、なんかあったらお前が守れ。」
七海「はぁ?なんで…」
龍二「志乃は観察力に長けているが、ケンカはそうじゃない。お前ならできるだろ。」
七海「あぁーもう、分かったわよ!」
志乃「今日は図書室で、紅の花を借りる予定だったんですが…。」
七海「紅の花?」
志乃「本です、良かったら貸しましょうか?」
七海「いい。」
龍二「図書室は明日にでも行ってくれ。」
志乃「分かりました。そうします。」
龍二「よし、決まりだな。あとは光輝、涼だな。」
クラスの中で身体能力が高い、吉葉 光輝(よしば こうき)と鐘田 涼(かねだ りょう)の名前を呼んだ。
光輝「は、はい。」
涼「分かりました、龍二さん。」
神崎 龍二。彼にさからう者はいない。彼はB組の絶対的支配者。
七海「ていうか、龍二。お遊びって、一体どこに行くわけ?」
龍二「地獄だよ、地獄。」
七海「地獄?」
龍二「この学園の地獄のようなところだよ。」
七海「まさか…。」
志乃「第二校舎。ですよね、龍二くん。あなたにとって、第二校舎は地獄でしかない、と。」
龍二「あぁ。地獄でしかねーよ、あんなところ。」
Bクラスが一気に静まり返る。
龍二「いいな!今日の放課後、C組に乗り込む。」
七海「また面倒なことを……。」
B組。また一つ嵐がやって来る。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。