第32話

第二十五話 ありがとう
30
2018/02/05 12:47
まなか
ひ、光瑠くんっ!
光璃
光瑠、まなかちゃんは光瑠のことが気になって、わざわざ来てくれた…
光瑠
なんで来たの?
もう俺には関わらないでよ。
光瑠は大声で叫んだ。
まなか
私、光瑠くんのこと、もっと知りたいっ!
仲良くなりたい! 光瑠くんは?
光瑠
俺は関わって欲しくない、テストも文化祭も勝手にやれば?
その方が楽だし。
笑心
ほ、ほら!まなか!
もう行こーよ!
まなか
私は帰らない!
だって、だってっ、光瑠くんも居て、C組だからっ!
光璃
まなか、ちゃん
小夜
光瑠くん。まなかちゃんはね、光瑠くんと一緒に文化祭に出たいんだよ。
光瑠
何なんだよ、みんなっっ、
俺は、俺は、俺はっっ、
……………いっ。怖いっ。
光瑠は大声で叫び始めた。
まるで心の叫びを上げているように。
光璃
光瑠……っ、ごめんね、光瑠っ!
光璃はそう言って光瑠に抱きついた。

光璃から溢れる大粒の涙。

その一粒一粒に光瑠への想いがあると気付いた。
光瑠
ひ、光璃、?
な、何で光璃が……?
光璃
ひ、光瑠、暴力は強くないの。
ごめんねっ、ずっと言えなくてっっ、私、気づいてたのに…っ、
言えなかったっ、光瑠が私を守ってたの、知ってるから…っ、
まなか
光璃ちゃん……?
光璃
ずっと私を守ってくれていたのっ、光瑠はっ、
文化祭だって、私のピアノのことでしょ、光瑠。
光瑠
そ、それは、
ま、まさかっ、
光璃が手を壊したやつ…?
光璃
うん。光瑠は気にしてくれてたんだよね?私の手のこと。
まなか
手?壊した?
光璃
私は手が少しだけだけど、不自由なの。

昔、手を痛めて……。
それからはずっと。習ってたピアノも弾けなくなって、
それを光瑠は気にしてくれてたんだよね……?
光瑠
だって、あれはっ、俺のせいでっ、
光璃
それは違う!
あれは本当に事故。光瑠のせいでも、誰のせいでもない!
まなか
じ、事故?
昔、光瑠を迎えに行った光璃が事故…、交通事故に巻き込まれたんだ。
まなか
そんなの、光瑠くんのせいじゃないっ!!

悪くないっ、悪くないよっ!!
光瑠
だけどっ、
光璃
私が悪くないって言ってるの!
それに、もし、光瑠のせいでって私が思ってたら、光瑠とはもう話してないはずだよっ、
だから、責めないでっ!
光瑠
で、でも
光璃
昔から変なところ気にして…ばっかでっ、
もっと他のこと気にしてよっ!私は、光瑠がつらいことあったの知ってるからっ、
光瑠
あったよっ、友達にも、先生にも裏切られてっ、信じてたのにっっ、!
俺は友達だって、先生だって、信じてたのにっ、なんでっ、俺はっ、!!!
光璃
なら言ってよ!
私が、双子の妹がいるじゃないっ!!もっと頼ってよっ!
光瑠
怖いんだよっ、誰かを信じるのがっっ!
裏切られたら、どうしようって、でもっ、言えなかったんだよっ!
俺のせいで手、壊したも同然なのに。って、
光璃
そっか…、ありがとうね、光瑠。
全部話してくれてっ。
光璃が静かに微笑んだ。
光瑠
ひ、光璃…、

お、俺もごめん。ありがと、光璃。
光璃
うん、それにね、手は大丈夫なの。
光瑠
え!?
えぇ?
光璃
ちょっと前くらいから自由になったの。
なぜか急にね。お医者さんもびっくりしてたよ。
光瑠
そっか!そっか!
おめでとう、光瑠!
初めて見た、光瑠の笑顔。
もう迷いは吹っ切れたはず。
まなか
光瑠くん。
光瑠
あ、え、えっと、ご、ごめん、
俺やる。文化祭もテストも。
光璃
私もやってもいいかな?
小夜
光瑠くん!光璃ちゃん!
霧絵
ふふ。
まなか
もちろんだよっ!!
よろしくねっ、光瑠くん!光璃ちゃん!
新たな風が吹いた、そんな気がした。




______________________________


作者の小緑です!
今回から吹き出しになります!💭
新たな 『ようこそ荒野学園第二校舎へ』をよろしくお願いします!!

プリ小説オーディオドラマ