第38話

第二十九話 夕暮れ
28
2018/02/11 09:40
まなか
ここが桂木くんの家?
光璃
そうみたいだけど、ここって、
光瑠
保育園、だよな、
小夜
ま、間違えたのかな?
霧絵
ここで合ってる。
真魚
そっか!幼馴染だもんね、霧絵ちゃん。
霧絵
まぁ、腐れ縁っていうか、そんな感じ。
小夜
で、でも何で保育園?
霧絵
見ての通り。あいつ、駆の家が保育園っていうこと。
まなか
えぇ!?
光瑠
し、知らなかった、
光璃
私も知らなかった、
そんなこと、あいつ言ってたか?
霧絵
駆は言ってなかったよ、言う必要ないって
まなか
と、とりあえず行ってみよっ!
小夜
そ、そうだね!
光瑠
あぁ。
保育園の中には、まだ園児がたくさんいた。
小夜
す、すみません、あ、あの、か、かつらぎ、
小夜が保育園の先生に声をかける。
先生
は、はい?
光璃
あ、あの、桂木くんのクラスメートです。
桂木くんっていますか?
先生
駆の!?
駆のってことは?
霧絵
お久しぶりです、
先生
まあっ、霧絵ちゃん!
久しぶりね〜。えっと、クラスメートって駆の?
霧絵
はい、駆の様子を見に来ました。
学校で最近見ないので…
先生
様子を見に来たって……、駆、学校行ってないの?
霧絵
え、えっと?
先生
駆、今日は学校の日だと思うけど…
霧絵
駆、けっこう前から学校に来てなくて、
先生
そ、そうなの!?
私は、てっきり行ってるんだと思って…
ご、ごめんなさいね、週で三日は学校、あとの日は
ほとんど保育園の仕事をしてもらっているの。
霧絵
そうなんですか、
駆は今どこにいるか分かりますか?
先生
ごめんなさい、私からは言えないの。
駆に誰が来ても、自分は居ないって伝えてって頼まれてるの、
霧絵
分かりました、また来ます。
そう言うと霧絵は保育園の門に向かって歩き出す。
まなか
ま、待って!!霧絵ちゃん!
光瑠
おいてくなよ、
光璃
行こ、小夜ちゃん、真魚ちゃん!
真魚
うんっ、
小夜
うん!
なんだ、なんだ?
門を出ると霧絵が口を開いた。
霧絵
まなか、
まなか
ん?
霧絵
多分、駆は学校には行きたくないんだと思う。
まなか
な、何で!?
霧絵
駆のお母さん、昔、病気でさ。
駆が遊びに行ってる間に倒れちゃって、駆、そのことでけっこう自分自信を
責めてて、だから出来るだけ多く、お母さんの手伝いをしてるんだ。
駆がC組に落ちたのは、問題行動って言ったけど、本当はバイトのことなんだ。
まなか
ば、バイト?
霧絵
駆は週三日、保育園の手伝い。
あとの日は、ほぼバイト。うちの学校はバイト禁止、だけど駆は
続けて、最後C組行き。C組になってからは、学校より仕事の方がいいって、
だから、ほとんど学校に来ない。
まなか
優しい人なんだね、駆くんって。
霧絵
あいつ、昔からお父さん居なくて、その分、お母さんが苦労したの知ってるから。
だから、あいつは頑張ってる。
まなか
行こう、駆のところ。
きっと会えるよ、また明日も、居なかったら明後日も来よう!
私も駆くんに会いたいし、
霧絵
ありがとね、まなか。
小夜
私も一緒に行くよ!霧絵ちゃん。
光璃
私もお手伝いするね、
光瑠
まぁ光璃が言うなら…
俺も久しぶりに会いてー
真魚
真魚もお助けするー!
霧絵
ありがと、みんな、
そんな夕暮れの帰り道。

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