私はバス停に戻るより、駅に向かう方を選び、歩いていった。
「ここから駅まで…20分か
一応遅れるとは言ったけどね、どうしよう」
ぼやきながらも歩くスピードを速くして、少しでも時間を短くしようと頑張っていた。
ーー12/25 P.M.16:50ーーー
僕は木子から送られてきた連絡を見て少しホッとした。なぜなら、正直言うと心の準備がまだ出来ていなかったからだ。『了解!』と返信すると精神を落ち着かせるために、
駅の中にあるカフェで体を温かい飲み物で暖める事にした。
「あー、あったまるー!」
(ぽかぽかするー、落ちつくー
何でだろう、温かいのってめっちゃ落ちつくねー)
などと思いつつ木子がくるまでどうしようかと考えていた。
「…木子、喜んでくれるかな…?」
今日の目的地を思い付いたのは親友達の助言のお陰だ。
デートの行き先の話題をしたとき、クリスマス=イルミネーションと言う結果になり、ちょうど近くで行われていた巨大クリスマスツリーのイルミネーションを見に行くことにした。
「うーん、上手くいくかな…」
机に突っ伏して唸っているといきなり声をかけられた。
「あれ?慎也じゃん」
「デートじゃなかったの?」
そこに居たのはいつメン(親友達)の聖と晃生だった。
「木子が遅れるから暖まってるんだ」
「お前…馬鹿かよ…?」
「え…?何で?」
「木子がいつ来るかわからないんだから、外で待ってなよ…」
晃生の言葉でハッとした僕は慌て時計を見た。
時刻は17:13を指していた。
意外と思い更けていたようだ。
「ごめん!聖、晃生、僕もう時間だから行くね!!ありがとう、今度何か奢るよ!」
そう言って残りの飲み物を一気に飲み干し、レジで新しい飲み物を二つ買い、足早に店を出た。
「木子は……」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!