どうした、震えているぞ。
そう云いながら、夜華に歩み寄った。
夜華は自分の手を見ると、少し驚いた顔をした。
だ、大丈夫。
そうか。(…意外と話しやすい。どうして、そう思うのだろう?)
そう一言云い机に向かおうとした。
だが、あなたが国木田の服を掴み、国木田の動きが止まった。
どうした?まだ何か有るのか?
と不思議そうに、少し苛立ちを含んだ云い方で返した。
えっと。あの『異能力』って何?
服を掴んでいる手に力がに入った。
知らないのか?
う、うん。
『異能力』というのは、俺の場合だと此の手帳に書いたものを具現化することができる。
『理想』と書かれた手帳を出して見せた。
でも、其れ手帳でしょ?その為だけにあるの?
此れには俺の『理想』と予定が記されている。
国木田の目には理想を目指し、追う一筋の光を灯しているようにあなたには見えた。
そしてあなたは俯いた。
かお
反対に国木田はきょとんとした表情をしたが直ぐ何時も通りに成り、机に戻った。
(やはり、話しやすかった。)
敬語だのなんだのと五月蝿い国木田が敬語を使ってないあなたに気が付くのはまた少しして気付く。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。