私の彼はぶきっちょで。
いっつもゲームばっかしてて
付き合えって言ったのは彼の方なのに
好きの一言さえ言ってくれなくて
私はあなたの何なのよ。
"ねぇ、別れよ?"
"お前が嫌なら別れてやってもいいけど"
なんで上から目線なの
ゲームしながら言わないでよ
"ダーマなんか大っ嫌いだから"
"俺はお前のこと好きだけどな"
……は?
今なんて?
そんなのずるいじゃん
ずーっといってくれなかったくせに。
なんなの、もうひどいよ
"泣くなよ、ほんとお前な"
ずるいもん、私の方が何倍も好きだもん
彼の背中を後ろから抱きしめると
すごく暖かくて、落ち着いて。
"なかなか言えなくて、ごめんな"
なんて言った彼の耳はとても真っ赤で
ゲーム画面にはGAME OVERの文字
ぶきっちょだけど、好きなんだから。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。