その後司は家に帰り、私は修哉たちがいる場所へ戻った。
気まずい空気が流れる中、そう声をかけた。
が、
...声をかけてくれたのは、修哉を除いた人達だった。
やっぱり、怒ってるよね。
この角度からじゃ、修哉の顔は見えないが、オーラからして、そんな気がした。
……え?
彼の顔を覗き込むと、心底安心したような顔をしていた。
そう言って、私の頭を思いっきりチョップしてきた。
心配したり、毒を吐いたり...
ほんと、なんなのよ、こいつ。
「幼なじみ」
この言葉が、フラッシュバックする。
やっぱり、修哉にとって私は、ただの幼なじみ。
それを、今すごく痛感した。
...司と別れて、修哉と幼なじみでいることにしたはずなのに...
...私って、わがままだなぁ。
こんなずるい私だけど、できれば振り向いてほしい、なんて思っちゃうんだ。
...そんな権利、ないけど。
だって私は、“尻軽女“だからね。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!