────今日はコンクール当日。
それぞれが、高鳴った心を抑えながら本番に挑もうとしている…はず。
だけど、私はそれどころじゃない。
大丈夫、今日まで辛い練習を頑張ってきたんだから…
それに…みんなの足を引っ張りたくない。
横斜め後ろを見れば…修哉がいる。
…コンクールなのに余計なことを考えてしまうのは、この人がほぼ原因。
もうすぐ出番だ……やってみせる。
「エントリーNo.6 美鈴高校」
私達の学校だ。
足音も減点対象だから、パーカッションは特に気を張らなくちゃいけない。
顧問の杠先生の指揮で、皆息を吸い、曲を始める。
審査員に私達の努力が伝わるよう、丁寧に演奏する。
何度も言われ続けてきた、ここの強弱。
大袈裟なくらいクレッシェンドして、ピアノに落とす。
よし、上手く行った!!!
あとは、トランペットのソロでフィナーレ。
…ここは修哉のソロだ。
順調…でもこのあとに高いHが…。
う、上手くいった!!!
よして…ppからクレッシェンドしてffに持っていく…!
顧問のキレのよい止めで演奏が終わった。
拍手が沸き起こる。
この時の達成感は、いつ経験してもすごい。
あとは…結果発表を待つだけ…。
吹奏楽部のコンクールはちょっとめんどうで、
金賞、銀賞、銅賞で別れていて、1番低いのが銅賞なんだ。
よく3位って勘違いする人がいるからここ注意!
また、金賞にも2つあって…
ゴールド金賞 と 金賞。
ゴールド金賞 じゃないと県大会には進めない。
「No.5 銅賞」
もうすぐだ…
「No.6 美鈴高校 銀賞」
…県大会、行けなかった…。
帰りはみんな沁沁してて…心地悪い。
「「さようなら」」
今年のコンクール…終わっちゃった。
───悔しい。
-----------------------------------------------------------------------
※パーカッション ←著者はこれですw
打楽器隊のこと
※高いH
普通の音より1オクターブ高いシ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。