第49話

もしかして...
899
2018/03/31 14:22
というか...見たことある。



すごく見たことある。







直接この姿で会ったわけじゃないけど...



どこか知り合いに重なる部分がある。








すると、脳裏に一つの人物像が浮かんだ。




もしかして...




もしかすると...




朱音
朱音
もしかして...灸人(やいと)くん?



修哉並に整っているのは、ある意味当たり前。




なぜなら...修哉のお兄ちゃんなんだから。








灸人
灸人
やっと気づいてくれたー!!!

悪ふざけしてただけなのに、不審者みたいな扱いされるし...

逆に俺が怖かったよ!?
朱音
朱音
そりゃ7年近く会ってないんだから分かんないでしょ!!




私の幼なじみ、修哉の実の兄。


───平塚灸人(やいと)くん。




修哉をかっこいいと言うなら、灸人くんはかわいいって感じ!





私とは8歳差だけど、年上ってことを感じさせない幼さがまたモテそう...




灸人
灸人
てか、すごい暗い顔してたけど大丈夫?


「大丈夫!」


...と言えたらどれだけ幸せだろうか。






大丈夫じゃない。


苦しい。


怖い。


辛い。




そんな感情が私を支配していく。




自分がいけないのに...





答えを出さないと、関係ない人まで巻き込んで傷つけてしまう。




...そう、分かっているのに

なかなか踏み出せない。




...拒絶されるのが、怖くて仕方がない。









……けれど、考えてみれば、それは向こうだって同じ。





というか、私よりこの気持ちを経験してるはず。





好きでいたつもりだった。


好きになりたかった。




好きだと思い込んだ。








けどそれは、拒絶されたショックを紛らわせてただけ。








本心は別にあった。










こっちも...そして、多分向こうも。










...ならいいじゃないか。









このまま終わりにしてしまえば。











...そう、考えることはできるになっ...









どうして一歩を踏み出せないんだろう...






灸人
灸人
...あの、朱音さん。
朱音
朱音
...あっは、はい!
灸人
灸人
質問に答えて。
朱音
朱音
大丈夫。



...じゃないけど、平気。

これは私の問題だからね。
灸人
灸人
...そっかぁ!
俺も一応兄みたいなもんだからな!
本当に辛くなった時は言えよな!




灸人くん……ありがとうっ!




朱音
朱音
ありがとう!...って、そういえばこっちに戻ってくるの?



このお方、就職のために上京したらしいんだけど……




灸人
灸人
あっ、そうそれ!
実は、2週間だけ実家に戻ってきたんですよ♡
朱音
朱音
語尾にハートつけないで気持ち悪い。
灸人
灸人
ひ、ひどいな朱音ちゃぁん...
灸人
灸人
まぁ、ってことでよろしくな!
朱音
朱音
はーい!




謎な再会だったけど、これからもっと賑やかになりそうです!


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