───今は理科の授業中なんだけど...
正直に言って、一番つまらない教科だと思う。
先生の声がぼそぼそ小さくて全然授業が分からない。
一応予習してある所だけどね...
暇になって、ふと窓の外を見る。
空はどんより黒く染まっていて、もうじき雨が降り出すところだろう。
この嫌な天気は...
まるで、私の心を表しているように見える。
...落ち込むと、すぐにネガティブになる自分が嫌い。
修哉が好きとどこかで分かっていながら、寂しさを埋めるために司と付き合った自分が嫌い。
私は司が好き、と暗示をかけないとそういられなかった最低な自分が嫌い。
私の心の中が、罪悪感と嫌いって気持ちで溢れる。
空は、晴れることなく、雨が降ることもなく、ただ黒く染まっていた。
私も同様に、心の黒いモヤが消えることはなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。