1年、2年…
時が経つのはとても早い。
私は6歳、シルクたちは12歳になっていた。
冬の、ある日のこと。
来年度、小学校に入学する。
…のだが、学区の問題で引っ越しせざるを得なかったのだ。
私の住んでいる地域では、1人で自転車に乗れるのは小学3年生以上と決められていた。
そして新しい家から土手までは、歩くのは無理でも自転車なら来れる距離だった。
この時私は、2年なんてあっという間だと思っていた。
だって、シルクたちと出会ってからの2年間は本当に短かったから。
私は笑って見せた。
モトキは寂しそうな顔で言った。絶対また遊ぼうな、って。
シルクは笑いながら、お前は妹みたいなもんだからな、そう言って頭を撫でた。
ザカオは、泣きそうな顔をして黙っていた。
そんな3人に手を振り、歩き出す。
2年後いつ、どこで会うか。
約束はしなかった。
だって、
必ず会えるー。
そんな気がしたから。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!