第2話

皐月
36
2017/12/02 06:17
五月五日
今日は彼が死んだ一年後の日
彼は何を思ったのだろう
彼の口癖は…
僕は、その言葉に合っていない。
生きていても価値などない。
君が、僕に価値を与えてくれる?
いつも彼はそう言っていた
あの日、私は雨の中で彼を待っていた
いつも通り


価値が無い僕を誘う君は何なんだい
というながら現れると思った
けれども彼は現れなかった
翌日、私は友人に彼が死んだと聞かされた
私はこう思った
やっと、価値の無い人生から解き放たれたんだね
と…
それを友人の前で言うと頰を叩かれた
何故?
そう訊くと
そんな辛そうな顔しながら言うんじゃ無いわよッ
と言われた
この時気付いた
私は辛いのか
私には彼が必要なのか…
と…
そんなこんな思い出していると雨が降り出した
あなた

皐月、五月雨だよ
私が貴方につけた
貴方にピッタリなものだよ

言葉を綴るごとに雨が強くなる
あなた

皐月
もう大丈夫
私は、大丈夫だから

また雨が強くなった
まるで、私が大丈夫じゃ無いと言うように…
私の、涙を隠すように…

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