五月五日
今日は彼が死んだ一年後の日
彼は何を思ったのだろう
彼の口癖は…
僕は、その言葉に合っていない。
生きていても価値などない。
君が、僕に価値を与えてくれる?
いつも彼はそう言っていた
あの日、私は雨の中で彼を待っていた
いつも通り
価値が無い僕を誘う君は何なんだい
というながら現れると思った
けれども彼は現れなかった
翌日、私は友人に彼が死んだと聞かされた
私はこう思った
やっと、価値の無い人生から解き放たれたんだね
と…
それを友人の前で言うと頰を叩かれた
何故?
そう訊くと
そんな辛そうな顔しながら言うんじゃ無いわよッ
と言われた
この時気付いた
私は辛いのか
私には彼が必要なのか…
と…
そんなこんな思い出していると雨が降り出した
言葉を綴るごとに雨が強くなる
また雨が強くなった
まるで、私が大丈夫じゃ無いと言うように…
私の、涙を隠すように…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。