「お前ほんとに気づいてなかったんだ。俺はすぐ気づいたけど。」
『え?』
「マフラー巻いてあげたの。俺だよ。」
寺本が...?いやそんな偶然あるわけない
「俺も信じてなかったけどね。少しあなたを意識するようになって...お前の優しさとかに惹かれてった。」
『へ?』
「あなたは、小さい時もそうだったけど、1人で抱え込むところがある。」
まってまって、ほんとに寺本なの?
「俺にも苦しいこととか分けて欲しいし頼って欲しい。」
『ねぇほんとに寺本なの?』
「だからそうだって言ってんじゃん。」
『ずっと会いたかったの、あの子に_!』
「っ...! 俺も。」
やっと会えた。こんなに近くにいた。
しかも私を好きになってくれた。
「俺のこと好きになってくれませんか?」
その時、マフラーから少し寺本の匂いがしました_
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!