え?
突然のことに、すぐに反応ができなかった。
地面を見ていた私は、ツリーを見つめた。
眩しい!
ついにあたりは真っ暗になったと思ったら、
クリスマスツリーがライトアップされたようだった。
ツリー全体がキラキラ輝いている。
そして、その中でもひときわ目立っていたのが、7色に輝く大きなクーゲルだった。
その重そうなクーゲルがひとつあるだけで、凄くカラフルにみえた。
ツリーの真下にいる私は顎を高くしないと見えないくらい、
「ここを見ろ」という風に星の少し下に堂々と飾られていた。
もちろんそのクーゲルにみんなの注目も集まる。
えーっと、あれはいくらだっけ?
雑貨屋さんで見たよなー…。
それで出会ったんだもんね。
けどなんであれが欲しかったんだろ…。
輝くから?
あの時から自殺のこと考えてたのかな。
あれが、落ちてきたら?
多分、今ここにいる私の下に落ちて、
頭打って…
や、落ちて来るなんてことは、、
もし、もしもだよ。
あの7色に輝くクーゲルは、君が用意したものだったとするよ。
それで、事前にクーゲルの上の紐の三つ編みを解いて支えを減らしたら、
クーゲルは落ちて来る。
嘘でしょ?
凄くしっくり来る。
これなら事故死だし、輝いてるから君のポエム通りだし、
何より君はあのクーゲルを欲しがっていた。
結局どうやって手に入れたかはわからないけど、
君はクーゲルの輝きとともに天へ……
大丈夫。
私がここに居れば止められる。
安心しつつ腕時計を見る。
門限2分前だった。
一旦家に帰らないと!
けど、君の命が…。
お母さんには逆らえない。。
私は家に走り出した。
君の命を救いたいのに。
自分のことで精一杯すぎる。
私には人の命を守る余裕なんて……
ないかもしれない。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。