ある日。
となりの席のちさとちゃんが、
目を輝かせながら聞いてくる。
私は“本田 杏”、中学1年生。
勉強も運動もそこそこの、普通ガール。
後ろの席に座ってる、たくやに聞いてみる。
たくやは私にテストを向け、
残念そうな顔をしている。
こちらはクラスメイトの“本田卓也”。
たくやは、口を開けながら返されたテストを見ている。
?????
ちさとちゃんはそう言うと、
私とやくやのテストをバッと取った。
ちさとちゃんが、私とたくやのテストを
片手ずつに持ちと見比べている。
2人同時に声をあげた。
たくやとは入学してから、
すぐに意気投合したんだ!
名字はおんなじだけど、双子ではない…。
たくやは、私を睨みつけた。
私は、たくやをポコポコ叩く。
“ぎゃはははは”
クラスメイトの友達が
ふざけたように言った。
ちさとちゃんが、つぶらな瞳で
私の顔を覗いてくる。
それにっ…。
双子だったら“結婚”できないじゃんっ!
なんて言えるわけでもなく。
たくやがくしゃっとした笑顔を見せた。
たくやと似ているのは、
きっとたくやが運命の相手だからだよ!
みんなにはヒミツだけど、
たくやに片思い中です♡
素直に“好き”って言えればいいなぁ…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!