プリ小説

第4話

サンタクロース
「ん?俺?サンタクロースじゃねぇよ?」
そう、飄々と答える少年。
見た所真穂と同い年か、一つ上くらいだ。
急に現れて、真穂を助け、一体何者だろうか。
「でも三文字合ってるな。俺、讃多聖夜(さんた せいや)。よろしくな!」
そう言い、少し手を拭く仕草をしてから真穂に手を差し出す聖夜。
だが今の真穂にそんな元気は無い。
「ん、どうした?」
「どうしたもこうしたも…あの男のせいで…悠良は…私の弟は…」
そう言われ、聖夜は悠良を見る。
「なるほど…」
そして悠良の元へ向かい、傷付いた頭に手を当てた。
その手から、優しい光が溢れ出す。
「あ、貴方、何して…」
「治してんだよ、この傷をな」
「え…」
驚き、真穂は駆け寄る。
すると、どうだろう。
みるみるうちに、悠良の頭の傷が癒え、出血が収まっている。
「す、凄い…貴方、何者!?」
「いやぁ、餓鬼の始末屋だよ」
「が、が…き?」
そう言うと、聖夜は倒れている金髪の男を指差す。
「あれが、餓鬼」
「ガキ?ガキっていう割にはあの男、大人びて…」
「あー確かに、大人びて…っておぉい、ちげぇよぉぉ」
見事なノリツッコミを披露し、聖夜は盛大にコケる。
「餓鬼っていうのはなぁ、幸せに飢えてるヤツの事だ」
「幸せに飢えてるヤツ?」
悠良の治癒を終えた様で、聖夜は金髪の男に歩み寄った。
「そう。簡単に言えば、不幸なまま死んで、死に切れずにこの世に残っちまってる亡者だ」
「え…?」
「そんで餓鬼は、他人の幸せを喰らう事で魂を維持してる。喰らわれた幸せが大きければ大きいほど、喰らわれた人間は死に近付く」
真穂は反射的に悠良を見、首筋に手を当てた。
…大丈夫だ。脈はある。
息もしている。
「その弟クンは運良く幸せをあまり喰らわれなかったんだ。良かったな」
「え、ええ…」
先程からよく分からない話を延々とされ、若干混乱している真穂だが、一先ず弟の命が助かった事に安堵する。
「んで、俺は───」
と、聖夜が話始めた時。

「貴様ぁ…」

金髪の男が蠢き、聖夜の首を掴んだ。
「おっと!」
聖夜は軽く身を翻し、金髪の男の背後に回る。
「さっき俺がテメェにぶちかましたのは、亡者神経を麻痺させる特殊なクスリだ。いくら人を沢山喰らってきたテメェでも、このクスリに対応は出来ねェ」
聖夜は素早い動きでマントを翻し、その中から拳銃を取り出す。
「餓鬼はクリスマスの時期に幸せが沢山溢れる事を知ってる」
拳銃を金髪の男の心臓部に付き当てる。
「厄介だ」

トリガーを引く。


鳴り響く銃声。

だがその銃声は、従来の鈍い音では無い。

美しい、鈴の音色。



金髪の男は心臓部から赤黒い血を吹き出し、そのまま藻掻きながらその身体を消滅させた。

「…昇天」



聖夜が拳銃をマントに戻した。
真穂はその姿に思わず見蕩れた。



白い雪が、薄らと積もり始めている。



これが、少女と少年の奇跡の始まり。

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