プリ小説

第6話

誘い
「いやまさか本当に会いに来てくれるとは…」

あれから1年。
真穂は高校1年生となり、それなりの生活を送っていた。
そして、またクリスマス・イヴがやって来た。
そして、あの少年もやって来る。

「へへへー、久しぶりだな、真穂!」
「あの時、1日しか会ってないのに…どうしてこんなに久しぶりな感じがしないんだろうね」
さぁ?という手振りを見せ、聖夜はドカドカと真穂の部屋に上がった。
「…って、何当然の如く部屋に上がってるのよ」
「えー、良いじゃんかぁ。折角織姫と彦星の再開なんだからぁ」
「半年違うぞ、それ」
少し愚痴りながらも、茶を出す真穂。
それを聖夜はグイッと飲み干す。
「…サンタクロースは、クリスマスじゃない時、何をしてるの?」
「そうだなぁ…っていやいや、それは極秘だぜ…」
「ちぇー」
口を尖らせながら茶を入れていたグラスを片付ける真穂。
それから少し他愛の無い会話を弾ませ、夜まで過ごした。



「…さてと、俺はクロースとしての時間だ」
「そっか」
頑張ってね、また来年会おうね、と真穂が言おうとした時。
「オメーも来い」

「…は?」

「いやだから、お前も来いよ」
「いやいやいやいや、えっ?」

話が急過ぎる。
サンタクロースって、そんなノリで出来るモノなの?
いや、ここは普通、また来年会おうね、ってしんみり終わる所だよね?
七夕みたいな設定は何処へ行った!?
と、真穂の思考回路がフル回転する。
「やろうぜ、サンタクロース」
「いやいやいや、ちょいまちよ、そんな簡単にサンタになっちゃうもんなの?」
「いや、俺の手伝いとしてさ」
「え、いやあの」
「まー悩んでる時間勿体ねーし、行こーぜ!」
「えええええ」
戸惑う真穂の身体を無理矢理抱え、聖夜は窓から空へ飛び出した。



「〜ッ、寒い!!」
室内から無理矢理外へ連れ出されたものだから、軽い部屋着のままだ。
雪が降り始めている外気が真穂の肌を刺激する。
「おっと、ならこれプレゼント」
そう言い、聖夜は赤いポンチョを取り出し、真穂に渡した。
公園で一旦降り立つと、真穂はそれを羽織る。
「…うん、暖かい」
「だろ?サンタクロース専用のこの赤い衣、めっちゃ暖かいんだぜ」
そんなサンタクロース専用のものを貰ってしまって良いのか…と、戸惑う真穂。
「とはいえそのポンチョ、クロース仕様だから」
「え…ってヒィ」
ポンチョの中には、拳銃やら謎の液体やらが仕込まれていた。
「これでオメーも餓鬼と戦えるぜ!安心しな!」
「いや、そーゆー問題じゃないんだけどね!?」
「さ、餓鬼退治に行こうぜーッ!!」
完全に聖夜のペースに振り回されながら、真穂はイヴの雪化粧の街を駆け出した。

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