プリ小説

第9話

確かな違和感
「真穂、行こーぜ!」
毎年変わらぬ、聖夜の掛け声。
「了解っ!」
当然の如く赤いポンチョを纏い、聖夜に抱えられ窓から飛び立つ真穂。
「あ、そーいや今更だけど、施錠どうしよう」
「今更過ぎるだろ、それにオメーの部屋はマンションの5階だし大丈夫だろ」
「そだね」
他愛の無い会話を交え、2人は雪化粧の地に降り立つ。

そして現れる餓鬼を、協力して消滅させていく。





「…昇天」
この夜で何体の餓鬼を消滅させただろうか。
真穂は最早クロースと同じ仕事量をしていた。
(まさか毎年イヴにこんな事になるなんて…小さい頃は思ってもなかったわ)
拳銃をポンチョに仕舞い、真穂は少し別行動していた聖夜を探す。

と、直ぐに見付かった。
「聖夜ー!」
笑顔で駆け寄る。
聖夜がこちらに気付いたように振り向いた。

───が。
その聖夜は、聖夜の様で聖夜で無かった。

「!?」
真穂の身は凍り付いた。
その聖夜の浮かべた笑みは、底知れぬ不気味なモノだった。
(な、なに、これ…)
金縛りにあっている様に、身体が動かない。
(あれ、は…聖夜じゃない…)

昼間に見た、暗い表情の聖夜の様だ。
不気味な笑みを浮かべた聖夜は、一歩一歩真穂に近付いてきた。
(な、何なの…)

───今年は…何か違う!!





「真穂ー、オメー突っ立って何してんだ?」
遠くの背後から聞こえた声に、真穂は我に返る。
「聖夜!」
不思議と身体が動いた。
急いで声のした方へと駆け出し、そこに居た聖夜に抱き着く。
「うおっ!?」
突然の事に聖夜は驚く。
「あ、ご、ごめん…ねぇ聖夜、貴方双子の兄弟でも居るの?」
「へ?いや、居ないけど…」
「そ、そう…」
そう言い、真穂は先程の不気味な聖夜が居た方を見た。
(あれ…?)
既に誰も居ない。
駆け寄ってみても、その積もった雪に足跡すら無い。
(幻覚…?疲れたのかな、私…)
「大丈夫か?真穂」
「う、うん、多分…」
「大丈夫じゃ無さそーな顔してるぞ」
真穂はハッと顔に手を当てる。
「ははは、だ、大丈夫、だいじょーぶ」
手で口角を必死に上げるが、先程の凍り付いた感覚が付いて離れない。
明らかに同様している真穂を見兼ねて、聖夜は真穂の頭をポン、と撫でた。

「一人暮らしも大変だな、今日は俺、泊まってやるよ」





「…はい?」

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