プリ小説

第13話

不安
不安なまま迎えた、真穂の21歳のイヴ。

窓の外は吹雪で、真っ白だった。

(今年は…大丈夫…だよね)

あの、不気味な聖夜の表情が脳裏に付いて離れない。
不意に首筋の跡に手を当てた。
何故か、この跡は消えなかった。
(私は、あの聖夜に幸せを喰らわれてるっていうの?)
だが、その割には至って普通な生活を送れている。
家族や親族に大事は無いし、自分も順調に大学生活を送れている。
(…とにかく、今年も聖夜が無事来ますように)
両手を組み、吹雪の空に向かって願う。
真穂にとってはこのイヴが楽しみでならないのだ。



「やっほー、真穂!」
「聖夜!」
今年も、窓から聖夜はやって来た。
いつもの、明るい聖夜の表情が真穂の不安をかき消す。
「良かった…聖夜に会えた…」
「ん?どうした?」
「え、ううん!何でもない」
聖夜に聞こえないように小声で言ったその言葉。
真穂は少し照れ臭くなり、いつもの様に茶を出した。

「あ、そうだ真穂、今日はいつもよりちょっと早く餓鬼退治に行こーぜ」
「え?」
一筋の、真穂の不安が脳裏に過ぎる。
(いつも…より?)
いつもと違うのが、不安で堪らない。
首筋の跡に触れた。
何も起こらないが、真穂はその跡が何か起こすのでは無いかと無性に不安になった。
「どうした、真穂?大丈夫か?」
「え、うん!全然大丈夫」
「そっか」
聖夜のその笑顔で、少し安堵するも、その不安は拭い切れない。

と。

「!!」

真穂の視界に、不気味な表情の聖夜が映った。
その聖夜は瞬きと共に消えた。

「…はぁ…はぁ…」
再び視界に映ったのは、明るい、いつもの聖夜。

(あの聖夜は…)



あの夢で、あの聖夜は何を言おうとしたのだろうか。



刻々と時間は過ぎていった。

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