プリ小説

第16話

残酷な真実
───死んでいる?

聖夜が?既に?

そんな訳が無い。

彼は毎年、私に会いに来ている。
話している。
脈もあるし、暖かい。

なのに、死んでいる?

「…馬鹿言わないでよ」
「これが真実だ」
冷たく言い放つその聖夜に、真穂は頭に来た。
「何言ってるの!?聖夜は毎年私に会いに来てくれてるの!!暖かいし、話せてる!それなのに、死んでるなんて…何言ってるのよ…」
俯く真穂。
「…信じられないのも無理は無い。たが…」
その聖夜は、自らの心臓部に手を当てた。
「俺はこうして、餓鬼として生きている」
「餓鬼…として…?」
首筋の跡が、疼く。
「そう…つまり、アイツは自分が死んでいると気付いていない」
「な、何それ…」
「サンタクロースになる人間には2種類ある」
その聖夜は淡々と言い続ける。
「お前の様にサンタクロースと関わった人間が成る場合と」
「やめて」
思わずそう呟いた真穂。

「死んでいる事に気付かずに生きている場合」

「止めて!!」
耳を塞いで、その場に座り込んだ。
「真実を教えろと言ったのは、お前だ」
荒い呼吸を必死に落ち着かせようとする真穂。
「…こんな、真実だなん…て…」
「真実は、残酷なものだ」
「…なら、本当の讃多聖夜は…貴方なの…?」
「いや、本物の肉体はサンタクロースの聖夜だ」
「そ、そう…」
「魂は、俺が本物だ」

───沈黙。

「…どうして、肉体と魂が、意識が別れているの…別人みたいなの?」
「肉体が、死んだと自覚していないからだ…だから不幸なまま死んだ讃多聖夜の魂は俺となり、死んだと気付かぬ肉体は生前の人格のままだ」
真穂はポンチョをぎゅうっと握り締めた。
「わけわかんない…」
「無理も無いだろうな、人間に分かる訳が無い」
その聖夜…餓鬼聖夜は、くるりと向きを変えた。
「この真実を知れば、サンタクロースの聖夜は消えるだろうな…否、漸く俺と共に成るか」
そして、去っていく。
積もった雪に、足跡を付けずに。

真穂はただ、去るその姿を見続けた。
首筋の跡の熱は、冷めてきた。

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