プリ小説

第18話

侵入
「よっ、真穂」
「いらっしゃい、聖夜」
また、今年もイヴがやって来た。

真穂は22歳。
あと少しで大学生活も終わりであり、そろそろ就職に向けて忙しい。

あれから1年。
そして、首筋の跡が付いてから2年。
生活に支障は無いが、不意にこの跡のせいで何者かに監視されている様な感覚に陥り、悪寒が走る。

いつもの様に、茶を出す真穂。
飲み干す聖夜。
…だが、真穂は何か気付いていた。
これが、最後なのでは無いかと。
「…真穂?大丈夫か?」
「えっ、うん!大丈夫」
茶を入れていたグラスを下げる真穂。
平常心を装うが、かなり同様している。
(聖夜は、もう死んでいる…)
聖夜に目をやると、呑気に欠伸をしている。
(でも、普通に大学生活送ってるって…いや、それも聖夜が気付いていないだけ…?)
「真穂ー」
悶々と考えている真穂に、聖夜が不意に話しかけた。
「え、な、何?」
「風呂、借りて良いか」
「え、うん、どうぞ」
礼を言い、そそくさと入っていく聖夜。
2年前にも使用したであろうし、使い方を説明する必要は無いだろうと真穂はベッドに腰を下ろした。



───と。

ベッドに腰を下ろしたハズの真穂は、"何か"の上に乗った。
「…ん?」
違和感を覚え、掛け布団を捲る真穂。
「…ひ…!!」
絶句した。

布団の上には、見知らぬ男が横になっていた。
ボサボサの、山吹色の髪。
漆黒のマント。
「ふ、ふ、不法侵入…!!」
急いで警察に電話をしようとする。
が、目を開いたその男に腕を捕まれ、そのまま布団に引きずり込まれる。
男は真穂を腕の中に収めた。
「やだ、は、離して…!!」
足掻く真穂。
だが、男は離す気配が無い。
「せ、聖───!!」
聖夜に助けを求め叫ぼうとしたが、口を塞がれてしまう。
「そんなに警戒すんなよ、首筋の跡の様子を見に来ただけなんだからさ」
男は真穂の首筋を覗き込んだ。
そして、するすると撫でていく。
「───!!」
恐怖を感じ、真穂は震えた。
「…へぇ、良い感じだね…でも、もう少し足りないな」
男は真穂の上に乗った。
そして真穂の両手を掴む形で押し倒す。
「い、嫌!何す…」
「もう少しだ…」
男は徐々に真穂に顔を近付けていく。
「な、何言って…」
「もう少し…」
首筋の跡が、痛みと共に熱を帯びる。
「いやぁ…!!」



「真穂に何してんだぁぁ!!」
男の唇が真穂の唇に当たる寸前で、バスタオル1枚の聖夜が男に体当たりをした。
2人はそのままベッドの向こう側へ落ちる。
「聖夜…」
聖夜は素早く真穂の元へ駆け寄る。
「おい、真穂、大丈夫か!?」
「う、うん…」
震えながら、聖夜の背後に回る真穂。
首筋の跡の熱は、少しずつ冷めていった。
「…よォ、サンタクロース」
男がむくり、と起き上がった。
「し、知り合い?」
「知り合いも何も…」
不敵に笑う男を睨む聖夜。



「こいつは、ブラックサンタだ」

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