プリ小説

第28話

覚醒
「───汚す…?」
真穂は恐る恐る訊ねる。
アサヤはつと真穂にギリギリまで顔を寄せた。
「そう…その真っ白な表情を乱れさせたい」
アサヤは真穂の視界に餓鬼聖夜が映る様にした。
そして冷たく言い放つ。

「もう、讃多聖夜は居ない」



「あ…」
真穂は頭を抱えた。
「あああ」
その張り裂けそうな瞳が捉えたのは、笑顔を見せる聖夜では無く、冷たい餓鬼の聖夜。
「あああああ」
真穂の瞳から一粒の、大きな涙が落ちた。
「あああああああああああああああ」
その悲痛な叫びが、教会中に響き渡る。
ステンドグラスが弾け、割れ、月明かりの光を反射させながら散っていく。
「さぁ舞え、オーディン。聖なる夜へと」
項垂れ、束の間の沈黙を破り再び顔を上げた真穂の白眼は、赤く血走っていた。
その赤と反転する様に、瞳孔は深い緑に光る。
「そして、愚かなこの世界に判決を」
そのアサヤの言葉と共に、真穂はニヤリと笑う。

「我が名はオーディン」

その表情は、最早真穂では無かった。
真穂───オーディンは、翼を広げる。
その風圧が、落ちるステンドグラスを更に舞わせる。

「愚かなる世界よ、生命よ」

オーディンは聖剣を創り出す。
そして空へと舞い、地を見渡した。

「聖なる夜に散れ」










聖なる夜。

それは時として、奇跡も、悲劇も起こす。

シェア&お気に入りしよう!

この作品をお気に入りに追加して、更新通知を受け取ろう!

よろしくお願いします