プリ小説

第34話

左右非対称の顔
「───あ…れ?」
真穂は目を覚ました。
辺りは、雪降る夜空だった。
「え…?」
だが地には、地獄絵図が広がっていた。

「真穂…」
目の前に居たのは、聖夜。
「聖夜…?」
その頬に触れる。
「聖夜、なの…?元の、サンタクロースの…」
「元…っていうよりは、やっとちゃんと過去を受け入れたって感じっていうか、その…」
何て説明しようかと口を濁らせる聖夜に、真穂は抱き着く。
「良かった…!もう、2度と会えないかと思った…」
突然の事に驚くも、聖夜は真穂を抱き締め返した。

…と、真穂は自らの身体に違和感を覚える。
背中に、何かある。
───翼?
そして、何故こんなに煌びやかな衣を纏っているのか?
何故、宙に居るのか?

「意識を取り戻しちまったかぁ…」
アサヤがゆっくりと飛び、近付いてきた。
「折角オーディンとして順調だったのに」
「オーディン…?」
刹那、真穂の脳内に電撃が走った。
そして、先程まで自らの肉体で、自らが───オーディンが何をしていたかがフラッシュバックする。
色、業火、激流、鎌鼬、血飛沫───
「嗚呼…」
真穂は頭を抱えた。
「わ、私───」
「目を覚ましたか、器」
真穂の左側の顔が、勝手に話し始めた。
「ええっ!?」
真穂は思わず、右側の顔だけで驚く。
「お前は───オーディン?」
聖夜は驚いた。
真穂の左右非対称の顔で、オーディンが話をする。
「ほお、サンタクロースか」
真穂の左側の顔───オーディンは、不敵に笑った。
「我の創った存在と、よもややこんな形で会えるとは」
その発言は歓喜に満ちていた。
「創った…?」
聖夜は引っ掛かる。
「だが邪魔はしないでくれよ…今、聖なる夜に、大切な裁きを下している所なのだからな」
そう言い、真穂の意識を押し退けようとする。
「あ…」
真穂の目が霞む。
「真穂!!」
聖夜は真穂に駆け寄った。
「何をする、サンタクロースが」
真穂の身体で、伸ばす手をピシャリと叩かれた。
「邪魔をするなと言っただろう」
「いくら貴方が神様でも、それは聞けないお願いだ!」
聖夜は必死に消えかかっている真穂の意識に向かって叫ぶ。
「真穂ッ!負けんな!!」
「諦めが悪いな、サンタクロース」
オーディンが不愉快な顔をする。
「俺はこーゆー性格なんでぃ。てか神様、サンタクロースを創ったってどういう事だよ?」
「お前、知らないのか?」
呆れた様にアサヤが笑った。
「し、知らねーよ!俺、気付けば人間からサンタクロースになってたんだもん」
「なら丁度良い」
オーディンは真穂の意識を押し退けるのを一旦止めた。
「教えてやろう」



「我が真に、どんな存在であろうかな」

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