プリ小説

第39話

壊れる
「細工───だと?」
オーディンは紋章の下で驚愕の叫びを上げる。
「ああ、そうだとも」


何かが罅割れる音がする。


「そ、そんな───」
真穂にとって、それは受け入れ難い真実だった。
自分の身体が、気付かぬ間に変わっていた───しかも、人形?
なら、何故血が───
その答えは直ぐに出た。
「まぁ、この首筋の紋章から俺の血液を入れただけの話だがな」
「や、やだ…」
「…俺の身体の一部が入った事で、この女は俺の操り人形になる」


何かが揺れる音がする。


「ブラックサンタ、貴様───」
オーディンが怒りを顕にする。
だが、紋章に喰らわれている今、何もする事が出来ない。
アサヤは不敵に笑った。
「さぁてと、もうじき紋章の力でアンタは器の中に取り込まれ、この女は俺の操り人形になる。何か言い残す事は無ェか?」
「我に創り出された分際で、よくもこんな侮辱を───」
「フン、負け惜しみを言えとは言って無ェ」
オーディンの意識は徐々に薄れた。
神である我が、皮肉にも創り出した存在にこんな事を───と、屈辱と後悔が入り交じる。

「お前はどうだ、女」
「…」
真穂の瞳からはすっかり光は消えていた。
身体には力が入っていない。
「もう血が回ったか。脆い身体だ」
真穂に寄るアサヤ。
「折角の操り人形だ、有効に使わせてもらうぜ」
右側の顔を、くい、と寄せる。
アサヤは真穂の頬を、髪を、愛おしそうに撫でる。


何かが確実に崩れ、壊れる音がする。


「さて、そろそろ───」
「ブラックサンタ」

聖夜の、低い、ドスの効いた声が雪降る夜空に響く。

「覚悟は出来ているか」



その瞳には、凄まじい怒りの炎が渦巻いていた。

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