プリ小説

第43話

覚悟
「───な、に…」
思わぬ言葉に、目を丸くするアサヤ。
聖夜も荒い呼吸で真穂に身を委ねるまま、必死に訴えた。
「ま、真穂、何言って…さっき、手を差し伸べるって…」
「…うん…確かに、手を差し伸べたい」
真穂は聖夜を包んでいる右腕を、右手を、ギュッと握り締めた。


「───アサヤ、貴方に」


凛とした、その瞳。
見据えられ、アサヤは動きが止まった。

───何を言っているんだ、この女は?
俺に、手を差し伸べる?
「───貴方の血で、分かった」
「何が、俺の、血で?」

「貴方の、生い立ち」


父に暴力───
母に殺人未遂───
施設で孤立───
最期には毒殺───


辛い、哀しい、そんな言葉では現せない程のアサヤの生い立ちが、真穂の脳内を駆け巡る。
アサヤはそれを知られるのが計算外だったのか、酷く慌てた。
「お前には───関係無いだろ…第一、お前に何が分かる」
憎悪の瞳で真穂を睨む。
「肉親に傷付けられ、殺され掛け、他者からは嫌われ、殺され───言い切れねェ苦しみの何が、お前に分かる!?」
アサヤは勢い良く真穂に飛び掛った。

───が、真穂はあろう事かそれを左手で受け止めた。

「何───」
「アサヤ、貴方の血と、聖夜の血が入った事で───」
紋章から光が放たれる。
左側を覆っていた茨が退き、真穂の身体が露わになってゆく。
その表皮は金色に染まり、神々しさに包まれていた。



「オーディンの力は私のモノになった」

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