プリ小説

第44話

溢れる光
「まさか───そんな」
聖夜は驚愕した。
「聖なる夜───私は、神となった」
今までの真穂と思えない程、その声は凛と、気高く、尊く、美しく。
それでいて、オーディンには無い強さと、優しさと、麗しさがあって───
「真穂…」
絶句する聖夜。
思わず真穂の身体から離れる。
「俺の、オーディンになる、ハズ、が…」
アサヤは唇を噛む。
「私は、誰のモノにもならない」



「私は、私」



真穂は、両手を月に翳した。
その光に照らされ、新たな聖剣が現れる。
「生きとし生けるもの───」
聖剣を、くるりと回す。
「その魂を清きものに戻せ」


聖剣から、光が溢れる。
その光は、空を彩るオーロラとなった。
「あ…」
地上が見る見るうちにオーロラに包まれる。
そして、鎌鼬が、激流が、業火が、破壊が鎮まってゆく。
人間達の傷も、見る見るうちに治ってゆく。
深い聖夜の右腕の傷さえ、治った。
「あ…ああ…」
アサヤは肩を落とした。
「折角、の…」
「アサヤ」
真穂はアサヤに優しく語り掛け、近付く。
「や、やめろ、来るな」
アサヤは拳銃を構え、真穂に向けて発砲した。
だがその銃弾を真穂は簡単に跳ね返し、アサヤの目の前に寄った。
「───私が怖い?」
「怖くは無ェな…ただ、殺したい」
震えるその手で、確りと拳銃を握る。
「そう」
真穂はアサヤのその手を両手で包んだ。
「やめろ、触るな!!」
「───浅夜武」
静かに、アサヤの嘗ての名を呟く真穂。

「もう、大丈夫」

そして、アサヤの頬の傷に触れる。
辺り一面に暖かい光が溢れる。
傷は、その光に呼応する様に癒えてゆく。
「何だ…この暖かさ…」
アサヤはその光に触れた。
感じた事の無い、暖かさ。
「何だと思う?」
真穂は、優しく微笑んだ。
「分からねェな…俺は、こんな光とは程遠い人生を歩んできた…」
「なら、今から歩みましょう」
聖夜はそこで、何かを感じ取った。
真穂が、アサヤの右手を取る。
「───え?」
聖夜が、アサヤの左手を取る。

「聖なる夜、それは───」










奇跡を起こす

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