プリ小説

第45話

存在
───長い夢を見ていた気がする。

アサヤは、目を覚ました。
(…ん?)
そこは、ふかふかの、暖かい布団の中。
起きて辺りを見ると、見慣れない部屋が広がっていた。
「ここは…」
「お兄ちゃーん!!」
「ぬわっ!?」
勢い良く、誰かに突進される。
「イテテテテ…」
「お兄ちゃん、起きるの遅い!!」
まだ、小さな男児だった。
「お、お兄…?」
ふと目をやると、男児の胸元には[城島 悠良]と書かれたネームプレートが。
(城島…)
「真穂…?」
「お兄ちゃん、何言ってんの?僕の名前は悠良だし、お兄ちゃんの名前は浅夜でしょ?そんな女の子みたいな名前じゃないよ」
「え…」
「ほら、早く起きて!!遊ぼうよぉぉ!!」
「あ、ああ…」
悠良に布団から引きずり起こされ、アサヤは追い付けないまま渋々傍にあった服に着替える。
何気無く鏡を見ると、そこには少し幼くなった様な自らの姿。


「おはよう、浅夜。早くしないと遊ぶ時間無いわよ?」
リビングらしき部屋へと移動すると、女性が声を掛けてきた。
(この女は───?)
何処か、真穂に似ている女性。
「ママ、お兄ちゃん寝惚けてるよー。自分の名前を真穂って言っちゃってたし」
(そうか、真穂のお袋か…)
アサヤは何となく納得した。
自分は今、城島真穂の家に居るのだと。

───だが。

「まほ…?」
母親が首を傾げた。
「真穂って、誰?」
「え…?」
笑顔で、何の悪意も無く、アサヤにそう訊ねる母親。
「何言ってんだ、真穂って、アンタの長女───」
「やぁねぇ、うちに女の子は居ないわよ?貴方と、悠良の、男の子2人兄弟じゃない」
「な…」
その言葉が、やけに部屋に響いた。
アサヤは目を丸くする。
(まてよ、今日は…)

───12月25日…

「昨日、一体何が…」
アサヤは母親と悠良に目を向ける。
「悠良、何で学校じゃないのにネームプレート付けてるの?」
「あれ、間違えちゃったー」
「もぉー、可愛い子ね…あ、ちょっとパパ手伝ってきてあげなさい」
「はーい」
他愛の無い会話を、平気で続ける2人。
(どういう事だ───)



真穂の存在が、消えている?

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