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第1話

帰り道
48
2017/11/30 10:38
……あぁ、寒い。
そう思いながら、仄かな街灯の明かりだけが残った黒と青の道を コツ、コツ、と一歩ずつ踏みしめて行く。
外に出てから一度も開けていない口が少し緩んで、白い息を漏らす。
すると、
『ミャー』
自分が白く音のない声を出す、それと同じタイミングで聞こえてきたのは自分には絶対出せない様な少し高めの小さな、ほんとに小さな声だった
さっき見た白とは違う、少し暗めの茶色い足元を下ろしてみるとそこには
こっちをじっ……と見上げる、





小さな黒猫だった。

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