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「「「メリークリスマス!!」」」
そんな掛け声と共に、一斉に酒やジュースの注がれたグラスをぶつける。
パーティーはやはりこのメンバーでやると明るくて騒がしい。
けど、そんな騒がしさも案外嫌いじゃない
そんな事を思いながら、店長が作ったケーキを頬張っていると
『ニャー…』
そんな声を上げながらノソノソと俺の座っている椅子へ飛び乗って
『ミー…』
更に俺の膝の上に座り
「よこせ」と言うような視線を投げかけてくるこの黒猫…。
『はぁ……』
ダメだ、と言うように首を横に振ると
『…………。』
なんとも不満げな顔でこちらをじっ…と見上げ続けた。
はぁ……、
またため息を心の中でつく。
そしてケーキをひと口台にして、それをフォークで黒猫の口元に持っていく。
まさに黒猫が口を開けてそのケーキを頬張ろうとした
まさに、その時
「あぁああ!!ダメだよ猫にケーキは〜!!」
突然叫びに似た大声を出したのは
先程までそれはそれは美味しそ〜うに酒をガブ飲みしていた店長。
『ミャ……』
残念そうな声と表情を俺に再び向けるも、
「黒猫ちゃんはこっち〜」
そう言って黒猫を店長が連れていくのを、俺はただただケーキを口に含んで眺めていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『……ふぅ』
パーティーが終わり、一通り片付けられたそのテーブルを眺めながら伸びをする。
ふと周りを見ると、騒ぎ疲れてぐっすりと眠る店員達。
俺もここで過ごしてもいいのだが何となく帰らなければいけない気がして。
俺は何かに急かされながら、ゆっくりとドアを開ける。
すると、
『……ミィ』
俺の後ろからスルリとドアを抜けて、猫が外へ出た。
そのまま後ろを振り返り、俺の方をじっ…と見つめたあと、勢いよく走り出した。
『……っ、おい』
何故か俺もそのあとを急いで追いかける
すると、その猫は家の前の横断歩道で足を止めた。
どうやら自分ではドアを開ける事が出来ないのを分かっているから俺を待っているようだ。
『はぁ、……何やって…』
そう言って猫の所へ行こうと横断歩道を渡ろうとした時。
キィイィィイイーーーッ
そう、耳の痛い音をたてて
トラックが
『…………え?…』
俺の方へ突っ込んできた。
猫はこちらをじっと見ていた。
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