「えー!
まだあなたクリスマスの予定ないの!?
彼氏いるんでしょ??」
「あ、うん…まぁ…」
今年はクリスマスイブが休日。
もちろん、私は柊真とデートしたい。
だけど…
「だって、もうクリスマスまで1週間だよ??
1週間後の明日はクリスマスだよ!?」
「そーだよねー…
やっぱ、私から誘わなきゃダメかな?」
「うーん…」
土曜日の部活の昼食中、クリスマスの話になった。
「咲良は?」
中野咲良(なかのさくら)、文化祭であったミス・コンテストで優勝した可愛い子。
ちなみに彼氏はミスター・コンテストの優勝者で1年の美男美女カップル。
「私たちはもうディズニー行くって約束したよーっ!
この前ペアチケットサプライズで用意してくれてーっ!!」
嬉しそうに話す咲良。
「ディズニー!
いいなぁー!」
「さすがじゃーんっ」
「なに、花岡くんそんなことするのー!
性格までイケメンじゃんっ!」
いいなぁ。
「もーあなたから誘っちゃえば!」
おにぎりを頬張りながら言ったのは篠崎朱梨(しのざきあかり)。
「えーでもさぁ、やっぱそこは誘われたいよねぇ?」
「うん…」
せっかくのクリスマス。
いつもは誘ってくれないけど、こーゆー時くらいは「一緒に過ごそう」って言ってほしいなぁ。
「でも待つのにも限界あるでしょー、ずっとそんな調子じゃぁ遊べないよ??」
まぁ、確かに。
もし私が誘わなかったら…うん、柊真の事だからクリスマスなんて気にしないかもしれない…。
クリスマスを会わないで過ごす?
そんなの嫌!
「うん…そうだね…」
やっぱり、私から言うしかないかぁ…。
待つって決心したばっかだけど。
《ははっ、それは笑えるっ》
「でしょー?」
夜11時。
寝る前にベッドに座って柊真と電話。
「あ、あのさっ…柊真。」
改まって言おうとすると少し緊張して胸が締め付けられる。
《ん?
どした?》
いつも誘ってるじゃん、私から。
変な緊張いらないはずなのに。
クリスマスだからかな…?
特別な日だからかな?
「あ、えと、クリスマス…空いてる?」
どうしよう、空いてないって言われちゃったら…。
《…あー。》
柊真の声はいつもより少し低く感じた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!