「ううーっ」
…分かってる。
柊真は悪くないことくらい。
部活が入っちゃったんだもん。
仕方ない。
仕方ない。
自分に言い聞かせる。
ブーッ。
スマホが鳴る。
LINEだ。
雄太から…。
【クリスマス会の参加、あとあなただけなんだけど!
ま、彼氏さんとのデートがあるんだろ〜…
来ないってことでいいですかー??
早めに返信求む!( `△´)】
あ…。
クリスマス会…。
そーいえばクラスの投票、私まだしてなかった。
…クリスマス会、か。
てか、彼氏さんとのデートとか何気に刺さる…。
【予定なくなった。】
雄太にそう返信する。
すると、すぐに既読が付いた。
【え、え?】
【デートは?】
ぐ…。
だーかーらー!
【無くなったんだってば!!!】
もー、悲しい事言わせないで!
【そか、じゃあ参加な?】
え。
そーなるの?
いいの?
【勝手にやればとか行けないと言っちゃったのに?】
行っていいの?
【は、別によくねw
つか、なんか他に予定あんの?】
【ない、けど…】
だって…
私、クリスマス会には行かないつもりで酷い事言ったのに…
【じゃー来いよ!
あなたがいた方が楽しいしさ!】
トクンッ。
私の胸の音が響く。
心がじわじわと温かくなる。
【うん。
仕方ないから行ってあげる!笑】
ごめんね、意地っ張りで。
仕方ないからとか、思ってないよ。
誘ってくれて嬉しいよ。
だけど雄太にそんなこと言うのは恥ずかしくて。
【よっしゃ💪✨
つーかなんでそんなに上から目線っ!】
【なんでって、来てほしーんでしょー?】
心にもないこと打っちゃって。
【あーはいはい、そーですよっ!】
「ふふっ」
雄太の優しさが心にしみる。
「…ありがと。」
雄太には通じてないと思うけど、ほんとに思ってること、“ありがとう”。
私は独り言のように口にした。
雄太、来て欲しいんだって、私に。
私がいると楽しいんだって。
なにそれ、私の事好きみたいじゃん。
なんてね。
ほんとは…
私の方が惹かれてるかも…。
なんてそんなの勘違い。
多分ね。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!