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第21話

好きじゃない
「メリークリスマースッ!!

乾杯っ!」


「「「かんぱーいっ!!」」」


カラオケ店の7階、701号室。


最上階である7階は大部屋が3つ入っている。


その内の一部屋で、乾杯の合図とともにプラスチックのコップの縁をみんなと鳴らし合わせる。


「雄太、何その帽子とヒゲ。」


近くにいた雄太とコップを合わせた時、雄太の異様な格好に気づいた。


「なにって、サンタ。」


しれっと答える雄太。


…いや、そりゃ見ればわかる。


クリスマスに赤いとんがり帽子をかぶって白く長い付け髭をしているのを見れば、誰だってサンタを思い浮かべるだろう。


でも、顔は完全なコスプレなのに、パーカーにジーパンって…


「違うよ、なんでしてるのってこと。」


質問の意味するところが違う!


「あぁ、だってコスプレしたら300円引きってこの店のホームページに書いてあったからよっ!」


くしゃっと笑う雄太。


…口元がヒゲで隠れて見えないけど。


「たった300円…」


私がボソッと言うと、雄太は「チッチッチッ」と舌を鳴らしながら人差し指を立てて左右に振った。


「甘いなぁ〜、その300円が重要なんだよ、あなたくん?」


「…なにその探偵気取り。」


私は白い目を雄太に向ける。


「っ相変わらず冷たいねぇ、あなた。

だから彼氏にもデートキャンセルされるんだよー。」


「っつ、それは禁句っ!!!」


もー、今日はそのこと考えたくないのにーっ!!!


「わりぃわりぃ。」


そう言って雄太は片手を目の前に出す。


「気持ちがこもってなーい!」


ったく〜…


「んで?

なんで300円がそんなに重要なの?」


「んあぁ、カラオケ代とお菓子代の合計を、今いる35人で割ると、300円余る。

つまり、半端なそいつをオレのコスプレで安くしてやったってわけよ!」


「…なるほどね。」


会計の役目も雄太1人で果たしてるわけね。


なーんだ、雄太のクセに、しっかりしちゃって。


ーアイツのこと好きなの?ー


ふっと昨日の和田くんの言葉が脳裏をよぎる。


っ。


なんで今っ。


だから、違うってば。


そんなこと思ってないって。


第一、私には柊真がいるし。


「あなた?

どーかした?」


「え?」


「なんか、深刻そうな顔してるけど。」


雄太が私の顔をのぞき込む。


「へっ、い、いや、なんでもないよ!?」


雄太のことなんて、考えてないよ!?


マンガでありがちな自白を口に出さないよう抑える。


「ふーん。

今日はもう、彼氏のことなんて忘れてさっ、ぱーっとやろーぜ!

ぱーっと!」


「…っ

だぁーかぁーらぁーっ!!!

それは禁句!!!」


何回も言わせるなっ!


ありえない!


こんな奴、絶対好きじゃない!!