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第11話

戦いの終結
502
2019/01/25 08:01
さやか
さやか
…っく…
つ、強い…
鞭と銃で多才な攻撃を繰り出す少女に、あたしー美樹さやかーは、防戦一方で追い詰められていた。
既に魔法少女服のあちこちは破けて、血が滲み出している。
今も、相手が打ってきた弾をギリギリで剣でガードしたところだ。
さっき、まどかにマミさんを呼んできてって頼んだんだけど…なかなか来ない。
は、早く来てくれないと……あたしも、そろそろ限界だ…
???
ほっと!
さやか
さやか
!!
鞭がこっちに飛んでくる。
あたしは間一髪でかわすけど、さっき足に貰った一撃が響き、ぐぅっ…と呻き声を漏らしてしまう。
そのすきを相手は見逃してくれなかった。


ダンッ!
響く銃声。足の傷に気を取られていたあたしは当然反応出来るわけでもなく
お腹に直撃した。
さやか
さやか
ぐあぁぁぁ……ッ
い…痛いっ…
強烈な痛みがお腹から全身に広がる。
あたしは耐えきれず、地面に伏せた。
???
さぁ…これで終わらせるよ!
相手が鞭を振り下ろしてくる。
く…かわせないっ!
その時だった…
???
…っ!ぁアッ!
え…どうしたの?
お腹を押さえて、目をつむって相手の攻撃が来るのを待っていたら、逆に聞こえてきたのは、相手の苦しげな呻き声だった。
おそるおそる目を開けると、少女は鞭を持った右手を、左手で押さえていた。押さえている左手から、血が滲み出している。
???
くッ…なんだ!誰だ!
マミ
マミ
私よ
さやか
さやか
…!!
この…頼りある声はっ!
あたしはばっと後ろを振り返る。
そこには、いつもの魔銃を手に持つマミさんと、怯えた表情のまどかがいた。
さやか
さやか
まどか…っ!マミさん…っ!
あーもう!遅いよ!待ちくたびれちゃったよ!
まどか
まどか
さ…さやかちゃん!大丈夫!?
あたしに駆け寄ってくるまどか。
さやか
さやか
う…うん大丈夫……いや、違うかも…
正直、かなり痛い。
治癒魔法を持つあたしでも、中々治らない。
マミ
マミ
鹿目さん、美樹さんにグリーフシードを使ってあげて。かなり穢れているはずよ。
まどか
まどか
は、はい!さやかちゃん、少し移動するよ
あたしの前に、守るように立ちはだかるマミさん。
あたしを抱えて、路地裏の端に運んでくれるまどか。
…なんか、二人には迷惑かけちゃったな…
???
チッ…巴マミ…やっかいなのが来やがった…
マミ
マミ
えぇ、私は巴マミ。この街の魔法少女よ
???
知ってるさ…この辺じゃ有名だよ。見滝原にいるものすごく強く、変わった魔法少女だってね…
マミ
マミ
私も、あなたのことは知ってるわ…"藍珠璃〈らん しゅり〉"
藍…珠璃?それがこの少女の名前?
珠璃と呼ばれた少女は、口元に笑みを浮かべてこう言った。
株璃〈シュリ〉
へぇ…あたしも有名になったもんだね…
マミ
マミ
ええ、有名よ
マミさんは険しい表情で言った。
マミ
マミ
その町の魔法少女だけを殺し、縄張りには一切興味のない魔法少女。それに以前…風見野も襲ったそうね
さやか
さやか
…え!
風見野って…確か杏子の街じゃなかったっけ…?
株璃〈シュリ〉
あぁ…あそこの…なんだっけ?佐倉杏子だけは殺すのはやめたよ…あんな事にはならなさそうだし
…あんな事?
…あんな事って…何?
マミ
マミ
それはともかく、もうこれ以上この街に手を出さないで!もし関わるというなら…私も戦うわ
マミさんの声は冷たかった。
株璃〈シュリ〉
…まぁいい。今回は退くよ…ただ、まだあたしは諦めてないからね
それだけいうと飛び去り、やがて姿が見えなくなった。
…現れた時同様、本当に一瞬だった。
怒涛の流れに、あたしがぼうっとしていると…
マミ
マミ
…美樹さん、大丈夫?
マミさんが、いつもの優しい声色であたしに聞いてきた。
さっきまどかがグリーフシールドでソウルジェムを浄化してくれたし、傷も治癒魔法で癒えてきている。
さやか
さやか
…う、うん、大丈夫だよ…ごめんマミさん…まどか…手間かけちゃって
まどか
まどか
そんな事ないよ!無事で良かった…
あぁ…まどかは優しいなぁ…

と、その時だった
杏子
杏子
まどか!さやか!マミ!
上から、聞き覚えのある声。
見上げる間も無く地面に降り立ったのは、杏子だった。
杏子
杏子
なんか、こっちの方からすごい魔力反応があったんだが…大丈夫か?
ほむら
ほむら
杏子!急ぎ過ぎよ!
と、同じ方向から来たのは転校生…じゃない、ほむらだった。
仲間だし、転校生呼ばわりはダメだよね。
杏子
杏子
い、いや…べ、別に心配してる訳じゃねーからな!
さやか
さやか
いや、あたし何にも言ってないんだけど
まどか
まどか
杏子ちゃん…心配してくれたんだね!
うわぁ、すっごい純粋な笑顔。
これに勝てる人はいないわ、うん。
現に杏子顔真っ赤だし
杏子
杏子
だ、だから違うっつーの!もういいだろ!無事なら帰るぞ!
マミ
マミ
全くもう…素直じゃないわね
杏子
杏子
なんか言った?
マミ
マミ
ふふっ…何でもないわ
杏子
杏子
いや、絶対に今かわいいなとか思っただろ…
うわぁ…あの杏子が弄ばれてる。
マミ
マミ
どうかしら?
まどか
まどか
マミさん…すごいね
ほむら
ほむら
あら、杏子は元々こんな感じよ
ふーん…あれが、杏子の素かぁ…。
第一印象は最悪に等しかったけど、中々普通な子かも知れないね!
さやか
さやか
なんか、あいつとは仲良くなれそうだなぁ…
変身を解きながら、あたしはだれにも聞こえないほど小さなら声で呟いた。

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