パソコンを前にして、私ー巴マミーは、唸っていた。
…そう、今日私は、暁美ほむらさんに、合宿のしおりの作り方を教えて貰う約束をしていたのだ。
普段、あまりパソコンを使わない私と違って、色々なことを調べる暁美さんは、パソコンの操作に慣れている。
だから、教えてもらおうとした………のに!
それも十分以上も。
…ったく、暁美さんって約束とか守る義理堅い性格だと思っていたのに、まさかね…
私はそう言って、ノートパソコンを閉じて席を立った。
イライラしているときに、紅茶を飲むと心が落ち着く。いや…イライラしている時だけじゃない。
悲しいことがあった時、悔しい時、あの日のことを思い出した時…紅茶を飲むと、とても心が落ち着いた。紅茶は、もう…私の趣味と言っても過言ではないわね。
なんてことを考えている間に、私は台所にある紅茶専用の棚からレモンティーを取り出して入れ始めていた。
匂いを嗅ぐだけでも、リフレッシュできる。ほんと、紅茶って素晴らしいわね…
ティーカップに注いだ紅茶を机に置き、冷蔵庫からケーキを取り出して、準備オッケー。
このままいただきますしたいとこだけど、せっかく時間あるんだし、宿題でもしましょうか。
ソファの側に置いてある通学カバンからノートと教科書を取り出して、今度こそ準備オッケー!
そう小さく呟きながら、紅茶を一口。
…やっぱり美味しい。自分で言うのもあれだけど、私ってなかなか入れるセンスあるわね。ふふ!
………と、一人で微笑んでいた…その時だった。
ドンドンドン!
暖かい時間を崩す、大きな音がして響いたのは。
私はとっさに立ち上がり、ソウルジェムを指輪から変換させる。それは玄関……ドアを激しくノックする音だった。
その音からは、ただならぬなにかを感じさせていて………私の身体を硬ばらせる。
…え?
聞き覚えのある、ほわっとした感じの声で、私は体の警戒をといた。
こ、この声…鹿目さん?
私はドアの向こうに向かって、声をかける。
すると、私でもわかるぐらいに、ドアの奥からほっとした雰囲気が伝わって来た。
どうしたの、鹿目さん…?
その声は、緊迫に満ち、イヤな予感を感じさせていた。
TO be continued
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。